研究概要 |
大山噴火に起因する凝灰岩は農道,その他の建設で切り土したり,これを盛土材料とした場合,簡単に侵食されたり,小さなすべり破壊を生じ,法面の維接・管理に問題が生じている.そこで今年度はこの凝灰岩を現場より採取し,盛土法面を想定して締固めを行った.採取後の凝灰岩は完全に分解して砂質土となった.これを4種の締固めエネルギ-で締固めて剪断試験を行った.さらに斜面すべりは主に降雨時に生じることから,透水試験を行い,透水性について検討した. この結果,(1)凝灰岩はゆるい状態では強度定数C´,φ´はやや小さいが,締固めることによって,C´,φ´は増大し,顕著なダイレタンシ-特性を示す.(2)降雨時を想定した水浸状態ではC´が大きく減少するが,φ`はあまり変化しない.C´の減少は浅いすべりの安全率を大きく低下させるから,定性的に降雨時の斜面すべりの発生が説明できる.(3)締固めた凝灰岩の透水試験では流出水が濁っている場合があった.これはパイピング発生の可能性を示しており,安定性に大きく影響するから,別途にパイピングについても予備実験を行った.この結果ではパイピング発生の可能性は小さいことが判明した.(4)透水係数は締固めや圧密によって必ずしも減少するとは限らず,特異な透水性を示した. このうち,水浸によるC´の減少は低圧で実験を行うことができなかった.このため,次年度以降,低圧での非水浸,水浸状態での剪断特性の相違について実験を行う予定である.さらに島根県出雲地方南部に多つまさ土の低圧下での剪断特性や島根県内の大邑開拓地で多発している切り土法面の浅いすべりについても実験を行い,すべりの発生機構とその防止弓法について実験,解析を行っていく予定である.
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