計画書に示した備品を使用しながら、土の理工学に関する項目から計画に従って実験を実施している。 現時点までに、堆積岩由来の粘性土の風乾土のうち、2.0mmフルイを通過した試料(全粒土)、2.0mmフルイ通過後に0.25mm以下を取り除いた試料(団粒土)、2.0mmフルイ通過土を、木箱中でゴム栓によって土粒子を破壊させないようにaggregate分を圧砕した試料(破砕土)について基本的物理性、突固め、一軸圧縮、団粒分析の各試験を実施した。 それらによって新たに得られた知見を要約すると下記のごとくまとめられる。 1.真比重、粒径分布、コンシステンシ-限界には3者の間に有意な差は存在しない。 2.最適含水比は、破砕土、全粒土、団粒土の順に高く、最大乾燥密度は逆にその順序で小さくなる。 3.最大一軸圧縮強さは破砕土、全粒土、団粒土の順で弱くなり、最大乾燥密度の変化の傾向と全く対応している。 4.aggregateの破砕や再結合が突固めや一軸圧縮によって発生する。それらの変化の傾向を含水比に着目してみると、最適含水比が転移点になっている。 5.同じ堆積岩由来の粘性土でも、サンプリング場所によってこれらの傾向は一部異なる。この点は今後の検討課題である。 今後は室内実験のみに留まらず、現地における風化の進行が地すべりや斜面崩壊に及ぼす影響についても研究を展開してゆきたい。
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