本研究全般を通じ、日本のリゾ-ト開発は目的意識が曖昧で、勢い経済性が優先されてしまうために乱開発が進んでゆくように考察された。諸外国(特に西側先進国)と日本とのリゾ-ト開発における最も顕著な違いは、前者はリゾ-ト開発の在り方に対する造形が深く、乱開発を行わないばかりか、経済的、生態学的、文化的視点からみても、非常に優れたリゾ-ト地を創出している反面、後者即ち日本はリゾ-ト地の在り方に対する造形そのものからして理論的ではなく、殆ど必然の如く乱開発が進行しているという点である。 急速な乱開発がその地域にもたらす環境的デメリットは、河川等飲料水を含む水質の悪化、景観の悪化、風害、固有文化の破壊、生態系の破壊、土地取引におけるトラブル等様々である。日本では開発規制条例を持つ自治体は非常に少ないし、内容的に未成熟なケ-スも多いが、開発規制条例が存在すれば、少なくとも急速な乱開発に見舞われるという事態を幾分は避けえているようである(EX.長野県南牧村)。しかしこれらの自治体の開発規制条例は内容的にも、リゾ-ト先進国である西側ヨ-ロッパ諸国の自治体でみられるほど成熟していないので、それが存在する自治体は安泰であるかというとそうではない。しかし最近では湯布院町や掛川市のように更に進歩的な規制条例を導入した自治体もあり、今後、その成果が期待されるところである。 さて、それではリゾ-トの乱開発を防範するためには如何なる対策が有効であろうか。本研究では景観に対する規制条例もまた乱開発防止の有効な手段の一つであるという考察結果より、特に景観規制条例の在り方について研究を進め、今に到っている。
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