研究概要 |
学習的制御もやはり通常の制御と同じく,制御性を高めるためには品質についてのセンシング技術の向上を計らねばならない。すなわち,乾燥前・中の水分の高い穀物の品質判定を迅速に行わなければならない。米の場合,高水分籾からの迅速品質判定法として提案したのは,高水分籾をインペラ籾すり機で脱ぷし,この高水分玄米から光学的判定機で外観品質判定を,近赤外線分析機で食味判定をする方法である。 外観品質判定の検定では,同一のロットからの高水分脱ぷ玄米と乾燥後脱ぷ玄米で品質判定機で判定比較したところ,良質米の割合では両者は相関係数0.98であったので,高水分でも十分判定が可能であることがわかった。またNIRによる成分および食味分析では,高水分脱ぷ玄米からの測定値と乾燥後精白米での測定値を比較したところ,蛋白質で相関係数0.96,粘り値で0.90,食味値で0.92でありこれも十分な精度が得られた。 低コスト・高品質乾燥法として西山が提案している吸引送風累積貯蔵乾燥法の乾燥制御に学習的制御の導入を試みた。時間的節約のため小型実験装置で検定したコンピュータシミュレーションを使って最適操作を見出した。理想的に制御されると0.5%以内の範囲で規定の含水率に乾燥された。制御法として試みたのは乾燥空気の平衡含水率を制御する方法である。平成5年度に盛岡市近郊のライスセンターに本方式の実用実験機を設置して制御性を含めた実用化の検証がされる。
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