昨年度に引き続き、試作したマイクロ波乾燥装置により乾燥した籾につき胴割れ率、精米歩留り、砕米率、発芽率および食味計による食味値について詳細に検討した。品質の比較のために、約3℃に保った低温貯蔵庫で乾燥籾についても上述の品質評価を行なった。さらに、マイクロ波乾燥後の籾を脱ぷし、S社製貯蔵庫に(14℃設定)約1年間貯蔵し、1ケ月ごとに玄米の遊離脂肪酸度、タンパク質含量、発芽率、胚の活性度などを測定した。その結果、(1)マイクロ波照射時間を長くして籾温度を高めて乾燥するほど充分な休止過程を設け、籾粒子内部の水分の均一化を図らなければ多くの胴割れ米が発生するし、発芽率も低下することがわかった。したがって、マイクロ波照射時間と休止過程を適切に設定すれば、籾の迅速な乾燥とともに胴割れ率も減少させることができ、かつ処理量の増大が可能であると結論できる。(2)貯蔵玄米についてはマイクロ波処理、未処理米とも発芽率、胚の活性度および食味値に大きな差はなかった。遊離脂肪酸度は両者とも貯蔵4ケ月後に約11KOHmgに達し、以後増加しなかった。なお未処理玄米は貯蔵8ケ月後にコクゾウ虫が発生したが、マイクロ波処理米には発生しなかった。
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