研究概要 |
この研究は,画像処理を用いた桃の傷の検出システムを開発する目的であり,本年はその基礎研究として,桃,ミカン,トマト,リンゴ,カキ,ナシについて,その表面の傷を対象に分光反射特性を調べた。 ここに,想定される傷は,圧縮,落下,衝撃,腐り,擦り傷,切り傷,刺し傷,剥皮傷等であるが,自然状態で得難いものについては,人為的に傷をつけた。 また,分光反射特性については,正常果と損傷果の比較検討を行なった。 これらの研究から,次のような実験結果が明らかとなった。 (1)分光反射率は,青果物の熟度の進行と共に減少する傾向がある。 (2)青果物の表面色の違いによる分光反射率差は,可視領域において生ずるが,近赤外領域においては,表面色の影響が無くなり,ほぼ近似した値になる。したがって,正常果における近赤外領域での差のないことが,次の段階として,損傷果との間に差が生じることがあれば,この差が選別の対象となる。 (3)青果物の損傷部と正常部における分光反射率差は,損傷の程度,種類により異なるが,可視領域から近赤外領域において生ずる。その差は5〜25%に達する。近赤外領域においても,以上の差が存在することから,この差が傷検出の対象となり,十分に常果と損傷果の選別ができることが明らかになった。 したがって,この基礎研究をもとに,次年度は画像処理装置の開発研究を行う。
|