研究概要 |
我が国の農産物に対する多様化,高品質化の指向が年々強くなりつつある中で,近年,ミカン,ナシ,リンゴ等に対する画像処理技術の導入により,形伏と色の階級,等級選別の分野は,大きな発展を遂げつつある。しかし,選果システムの中で,多くの人手により青果物の損傷果の選別が行われているのが実情である。 これらのことから,この研究は,ナシ,モモ,カキ,ミカン,リンゴ等の主要な青果物に対して,損傷果実の判定を画像処理システムの開発により行なうことを目的とする。 従って,研究の手順として,損傷果(圧縮,落下,衝撃,腐り,擦り,切傷,刺し傷,剥皮傷,病斑等)の分光反射特性と正常果の分光反射特性を測定し,それらの平均値と標準偏差を求め,それぞれの分光反射率の信頼区間を算出した。この信頼差から画像処理によるモモ損傷果の検出に鮮適の波長帯域を明らかにした。 以上の実験から,モモについては,画像処理を行なうに最適の波長域は800〜900nmであることが明らかになった。 また,検出のための,カラカメラと赤外カメラを用いた画像処理システムを製作し,モモノ傷の画像を背景より分離する手法を確立した。 したがって,モモの傷の検出で傷の特徴を有する画像部をモモの画像から分割し,種々の特徴を抽出して,これらの抽出量と予め作った標準傷デ-タベ-スにあるクラスと同じクラスに割り当てることにより傷を検出することができた。また,損傷部の平均濃度は正常部のものより可成の低く,10階以上の差があることが明らかになった。また,損傷モモの画像ヒストグラムによって,画像濃度は条峰性を示し,傷の画像の分割には,再帰判別しきい値法による二値化処理が有効であることがわかった。次年度は,実用化に向けてその研究を行う予定である。
|