最終年度にあたる本年は、過去2ケ年にわたる果実損傷果の分光反射特性の研究に基づいて、モモの表面のカラー画像の色度と近赤外画像の濃度に基づいて、モモの損傷果を検出する可能性を検討している。また、モモの近赤外画像を用いて、判別しきい値と領域・エッジ併用のアルゴリズムを開発し、試作画像処理実験装置を用いて、損傷領域を抽出するための有効な手段を明らかにしている。 実験の結果の主なものは次の通りである。 (1)カラー画像では、切傷、腐り傷など人の目に見える傷の検出は可能であった。 (2)一方、モモ表面の色の影響を受ける、圧縮、衝撃あるいは表面色により隠された腐り傷の検出は容易でない。 (3)近赤外画像では、供試した損傷果のほとんどすべてが検出可能であり、特に、カラー画像処理で検出できない傷も検出できた。 この実験では、カラ画像、近赤外画像とも、果柄部と果 部のくぼみ、及び縫合線の部分のミス検出が生じたが、今後はプログラムの修正開発により検出が可能と考えられる。 (4)近赤外画像において、果実の成分によるものと考えられる影響が生ずる波長もあるが、中心波長850nm近辺ではその影響が少ないことが確められた。 (5)モモの腐り、虫害、傷跡、裂果等には判別しきい値法が有効である。 (6)明確な輪郭のある傷に対しては、領域・エッジ併用法は非常に有効であることが認められた。
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