研究概要 |
農作業に比較的高頻度で利用されている,主として低周波音域を含む送風機騒音,幅広い中周波音域のトラクタ騒音,高周波音域の籾の流動騒音のそれぞれ騒音の種類が特色付けられる3種の騒音を被験者3名の耳元で,各60,75,85,95dB(A)の4種の大きさに再生して,これらの騒音環境のもとで,動作と判断を必要とする「指定された色のスタンプを指定枠内に正しく押印する」スタンプ押し、作業の動作分析を行い,その結果を分散分析して,要因及び水準間の有意性を検討した結果,次のことが明らかになった。 1.騒音の大きさが作業者の作業能率・精度に及ぼす影響 騒音の大きさの増加に伴い,作業者の作業能率・精度とも確実に低下しており,両者には深い関連が認められた。 2.騒音の種類が作業者の作業能率・精度に及ぼす影響 騒音の種類(送風機,トラクタ,籾の流動)別と作業者の作業能率・精度との間には明確な関係は見出せなかった。 3.騒音が作業者の動作及び判断に及ぼす影響 知能判断を伴う作業は,動作を主体とする作業よりも騒音の影響を大きく受ける。 4.騒音が作業者個体別に及ぼす影響 騒音が作業者の作業能率・精度に及ぼす影響の傾向は上述の1.2.3.のとおりであるが,騒音が各作業者個体別に及ぼす影響の度合には明らかな有意差が認められた。 大要,以上の知見が新たに得られたが,次年度以降には,さらに騒音の周波数帯域別・大きさ別,並びに特定周波数帯域別の間欠騒音における作業者の作業能率・精度に及ぼす影響の詳細な検討が必要と判断された。
|