研究概要 |
雑音発生装置によって作られた異なッた8種の周波数帶域の騒音(63,125,250,500,1k,2k,4k,8kHz)と,異なった。7種の大きさの騒音(60,70,75,80,85,90,95dB)を組合わせた56種類の騒音環境下において,初級公務員採用試験に適性検査問題を応用して作成した簡単な計算や検索を含んだ問題を限られた時間(15分間)祝験者に課した。その結果から作業能率(解答数)及び作業精度(正解数)に求め,各々の実験条件との関係を分散分析によって解析した。また,同時に被験者の心拍数を測定し,被験者の解答中の精神的疲労との関係についても検討を加えた。その結果,次のことが明らかになった。 1.騒音が作業者の作業能率に及ぼす影響 騒音の大きさの増加に伴い,作業能率の明らかな低下が認められ,分散分析の結果1%の有意水準で有意であった。また,騒音の周波数の変化に対する革響は特に認められなかった。 2.騒音が作業者の作業精度に及ぼす影響 騒音の大きさ,周波数の変化に対する作業者の作業精度については,特に有意な差は認められなかったが,騒音の大きさが高レベルになると多少ではあるが作業精度の低下傾向が見られた。 3.騒音が作業者の精神的疲労に及ぼす影響 騒音の大きさ,周波数の変化に対する作業者の精神的疲労については,全体的に有意な差は認められなかったが,騒音の大きさが高レベルになるに従って,若干ではあるが心拍数の上昇が認められた。 大要,以上の知見が新たに得られたが,次年度は人間の聴覚反応に基づいた騒音の周波数帶域及び大きさを選定した実験条件の下での作業者の作業能率・精度に関して,なお一層詳細な検討が必要と判断された。
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