研究概要 |
騒音の種類(連続音,2秒間隔の間欠音:2種類),周波数帯域(63〜125,250〜500,1〜2k4〜8kHz及びピンクノイズ:5種類),大きさ(65,75,85,95dB:4種類)等の要因が作業者の作業能率及び精度に及ぼす影響を定量的に把握する目的で,作業者が判断と動作を必要とする「指定された色のスタンプを指定枠内に正しく押印する」スタンプ押し作業の動作分析を行い,作業者の騒音環境と作業能率・精度との関連について検討した。さらに,農作業現場における作業環境騒音と作業者の判断と動作の関連についても検討を行った。これらの結果から,次のことが明らかになった。 1.騒音の大きさの増大に伴い,作業者の作業能率・精度とも確実に低下しており,両者には深い関連(有意水準1%)が認められた。 2.騒音の周波数帯域1〜2kHzは,作業者の作業能率を低下する要因(有意水準5%)となることが認められたが,作業精度に関しては明確な差違は見出せなかった。 3.騒音の種類別は,作業者の作業能率・精度とも有意差は認められなかった。 4.知能判断を伴う作業は,動作を主体とする作業よりも騒音の影響を大きく受けることが明らかになった。 5.騒音の大きさの増大に伴い,作業者の精神的疲労は明らかに増加の傾向を示した。 6.農作業現場における作業者は,高レベル騒音環境の下での作業において,作業の判断及び動作に幾多の齟齬を生ずることが認められた。 騒音が作業者の作業能率・精度に及ぼす影響について,大要以上の知見が得られたが,これらのことは,今後,農業機械・施設の設計,改良の際の基礎資料として参考になり得ると判断とれた。
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