研究概要 |
植物工場などに代表される高度な環境制御技術がほぼ完成しているがそれはあくまでも気温や日照に相当するも生育環境要素を対称とした制御であり,植物生長を直接制御するものではない。農業機械学分野の計測制御に関する研究成果の蓄積は植物生産において植物により接近した見地から新たな技術的可能性をみいだすに余りある.その計測制御の技術的理論的蓄積およびフィジオメカニックス理論の融合の上に植物生長そのものを制御対象とする理論的実験的研究を展開することが本研究の目的である.目的を具体的に示すと根端分裂組織の細胞生長・生理・代謝に関してフィジオメカニックス理論とデジタル制御理論を基にそれに整合するファジィ線形システムの同定を行うこと,また,養液栽培で根端分裂組織の生長を工学的手法で制御するシステムを開発することである. 平成2年度の根端分裂組織細胞の生理・代謝・生長に関するシステムモデルの同定に関する研究に続き,本研究の最終年度である平成3年度は,根の生長制御実験を中心に研究を遂行し研究結果のまとめを行った.具体的な研究計画は,制御パラメ-タに関わる各物理要素を制御できるグロスキャビネットを用いて栽培装置を研究分担者と協力して製作した.さらに,環境要素の安定を図るため養液栽培で供試植物を栽培して,そこで作物の根の生長と制御の効果を検証した.また,後述するが,根端分裂組織細胞の生理・代謝・生長にファジィ線形システムモデルの同定が作物によっては当初の予測よりも困難である場合もあり,平成3年度では新たにニュ-ロシステムモデルの導入を行って問題点の解決を図った.また,工学的あるいは実用的観点から細胞分裂の制御を単に通常の環境要素を介した制御に加え積極的に人為的な植物生育環境を作りだしその環境の植物生育への影響を含むニュ-ロ制御系等も検討し,極めて人工的な環境として超音波等の音場を環境に取り入れる実験も行った.
|