研究概要 |
平成2年度においては,雨に濡れた葉のその後の乾燥速度の測定,降雨による葉の雨濡れ状態の変化,雨水の酸性度の観測を行った。 1.降雨処理後に切断した葉の乾燥速度 降雨を受けた植物から切り離した葉は、無処理植物からの切葉と比較して,その後の乾燥速度が大きくなった。特にうり科のキュウリ、カボチャは急速に乾燥し、逆にあぶらな科のタイサイ、キャベツでは乾燥速度が遅い傾向がみられた。またその上位の若い葉ほど下位葉よりも早く乾燥し、さらに降雨期間が長いほど乾燥が早くなる傾向がみられた。 2.降雨による葉の雨濡れ状態の変化 (1)雨水の葉面付着量は植物の種類によって異なり、トマト、キュウリ、ホウレンソウ、ダイコン、シロナでは多く,キャベツ、ネギ,サツマイモ、オオムギ、コムギなどでは少なかった。(2)葉位別雨水付着量を測定した結果、上部より第2〜3葉位の葉は他の葉位と比べて雨水付着量が少なく、第5葉位以下の成熟葉では雨水付着量が多い傾向がみられた。(3)葉面ワックス量の多い葉では、雨水付着量が少なく、ワックス量の少ない葉では雨水付着量が多い傾向がみられた。(4)降雨を受けた葉はワックス量が減少した。3日間の降雨処理によって、オオムギ、キュウリで20%前後、キャベツ、ホウレンソウ、ナス、インゲンマメでは40%前後の減少がみられた。 3.雨水の酸性度の測定 瀬戸内海をはさんで岡山、香川における雨水の酸性度を測定した結果両地域とも雨水はかなり酸性化していた。また岡山でのpHが香川に比べて低いこと、両地点で同時に降る降雨ではその酸性度に相関がみられることが明らかになった。
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