平成3年度においては、降雨による葉の表面状態の変化を調べる目的で葉面における雨水の付着の状態および葉面上の水滴接触角度について、種々の植物を使って検討した。また雨水の酸性度の観測を行い、解析を行なった。 (1)葉面の雨水付着量 17種の植物葉を使って、植物の種類、葉齢、葉面ワックス量と雨水付着との関係を解析した。(1)イネ、トマト、キウリ、ホウレンソウ、ダイコン、シロナなどでは、10mg/cm^2以上の付着量であり、キャベツ、ネギなどでは5mg/cm^2以下の少ない付着量であった。(2)一般に若い葉では雨水付着量少なく、成熟葉では付着量が多い傾向があった。(3)雨水の付着量と葉面ワックス量との間には負の相関がみられた。(4)数日間降雨を受けた葉は葉面ワックスが30ー40%減少した。 (2)葉の水滴接触角度 16種の植物葉を使って、植物の種類、降雨日数、葉齢、葉の部位、葉面ワックス量と水滴接触角度との関係を解析した。(1)植物種によって58ー140度の広範囲の角度を示した。この接触角度は数日間の降雨を受けることにより減少した。(2)成熟葉は若い葉よりも水滴接触角が小さく、また葉の先端部が中央部よりも角度が小さく、濡れやすい傾向がみられた。(3)葉の水滴触角度はワックス量との負の相関関係がみられた。 (3)倉敷における酸性雨の観測 本研究代表者らは1972年以来酸性雨の観測を続けているが、今回は1988ー1991年に観測された208回の降雨について解析した。(1)全降雨回数に対する酸性雨の日数の比率は94%に達した。(2)黄砂飛来時には、酸性雨の原因物質でもある硫酸、硝酸イオンの含量が多いが、カルシウム、マグネシウムも多く含まれているため、雨水のpHは7前後と高い値を示した。
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