種苗工場とは、次世代の農業生産体系を担う工業化された種苗生産システムをさす。生理学的計測とその自動化は種苗工場を具体化させるために必要なプロセスである。本研究では、植物体の生長に関する生理的研究、培養体の研究、植物体の環境ストレス反応に関する研究、種苗の水耕栽培における研究、制御及び計測の自動化に関する研究に区分して研究を段階的に遂行した。 生長に関する生理学的研究:植物の生長は、細胞の90%以上が水で構成されているため、細胞に水が流入する速度によって生長が制限されることが明らかにされ、生長に伴った水ポテンシャル場の計測により、植物の生長速度の予想が可能となった。 培養体の研究:植物培養における形態形成および細胞伸長における培地条件と細胞水分生理的特性を研究することにより、細胞の膨圧および生長に伴った水ポテンシャル場の存在が培養植物で明らかにされた。 環境ストレスに関する研究:種苗における塩ストレス、温度ストレス、湿度ストレスでの植物体での細胞伸長、光合成、気孔反応の生理的メカニズムを明からにした。 種苗の水耕栽培における研究:水耕栽培で植物を育てたときの生育と生理的特性、管理の自動化について明らかにし、特に、塩類ストレスにたいする種苗の耐性のメカニズムと塩類ストレスによる栽培植物果実における糖の集積による高品質化についても触れた。 制御及び計測の自動化に関する研究:植物の生体計測と計測制御およびその自動化について、人工知能型コンピューター利用について明らかにした。
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