研究概要 |
研究計画に基づき、牧草組織の画像処理技術の開発を行った。 供試材料として、寒地型イネ科牧草(C_3植物)4草種と暖地型イネ科牧草(C_4)植物)を用いた。葉身中央部から厚さ60〜80μmの切片を作成しサフラニンで低消化性部位を赤く染色した。 供試草種の葉身横断面の特徴をみると、オ-チャ-ドグラス(Or)は維管束及び厚角組織が発達し、中肋の背軸表皮側に大きな繊維束が認められた。ケンタッキ-ブル-グラス(Kb)も紺管束及び厚角組織が発達し、Orと類似した葉部構造を示した。チモシ-(Ti)は維管束間距離が長い特徴をもち、ペレニアルライグラス(Pe)は向軸表皮が維管束を片側から覆うように大きく波打ち、厚壁組織が小さい特徴をもっていた。これら寒地型牧草に対し、暖地型牧草のウィ-ピングラブグラスは維管束が著しく発達し、維管束間距離も短かかった。 サフラニンで染色した切片の試料を撮影したカラ-印画紙から、テレビカメラで赤,青,緑の色成分に分けて画像処理装置に取り込み、解析した。各色成分の濃度ヒストグラムで「しきい値」を決定し、高消化性部位は緑成分、低消化性部位は赤ー青成分を2値化し、それぞれの画素数により面積を算出した。全体に占める高消化性部位の面積割合を化学分析による可消化有機物含量(DOM)と比較したところ、いずれもPeが最高値を示し、OrとTiがつづき、草種間の順位はほぼ一致した。しかし値そのものは一致するものではなく、今後、2次元形状の画像処理値から3次元形状のDOMを推定する実験式を求めるなどの研究を行う必要がある。 以上の研究とは別に、Or,Pe,ト-ルフェスクの3草種について細胞内容物、高消化性細胞壁物質、低消化性細胞壁物質中に含まれるミネラル含有率の分析を行ったが、デ-タは整理中である。
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