研究概要 |
実験動物としてウズラを用い、排卵予定時刻の8時間(脳下垂体からのLH放出前)前の最大卵胞から顆粒膜細胞を単離し、以下の実験をおこなった。 1.コラゲナ-ゼで細胞を分離し、フィブロネクチンで表面処理をおこなったプラスチック培養皿で120時間培養した。用いた培養液は、マッコイ5aとハムF12を等置混合したもので、これにグルタミン、牛血清アルブミン、インスリン、トランスフェリン、コルチコステロン、及び抗生物質を添加したものである。24時間毎に顆粒膜細胞のプロゲステロン産生能を測定したところ、培養72時間以後は、LHに反応しなくなることが判明した。 2.プロケステロン産生能の低下の原因を探るため、 ^<14>Cープロゲステロンを添加した培養液で顆粒膜細胞を培養したところ、きわめて短時間に、5βープレグナンー3,20ージオンと3αーヒドロキシー5βープレグナンー20ーオンが ^<14>Cで標識された代謝物として得られた。単離直後の顆粒膜細胞では、このような代謝物は検出されなかったので、5βー還元酵素及び3αーステロイド水酸基胞水素酵素は、培養中に新たに誘導されたものと考えられる。種々の薬剤を培養液に添加して、これらの酵素活性に及ぼす影響を調べた結果、抗酸化剤、特にジメチルスルフォキシドが、これらの酵素活性を抑制することがわかった。 3.ウズラ卵胞の顆粒膜が、一層の細胞であることを利用して、細胞を単離せずに、より生体に近い状件で長期間培養する方法を開発した。現在、この方法を用いてLHに対する顆粒膜細胞の反応性を検討中である。
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