研究概要 |
1.一週齢ラット卵巣を,凍害保護物質として2Mグリセロ-ルを使用した緩慢凍結法とガラス化液(VSI)を使用したガラス化法で段階的希釈法とサッカロ-ス加リン酸緩衝液(PBS)によって凍害保護物質を除去した。緩慢凍結された卵巣では、主に卵胞内に氷晶形成や希釈ショックによると思われる細胞損傷が生じた。ガラス化法では主にVSIの化学的毒性と希釈ショックによると思われる障害が観察された。今回試みた方法のなかでは、ガラス化法でー196℃に冷却しサッカロ-ス加PBSにより希釈した場合に、卵巣組織が最も良好に保持された。 2.保護物質として2Mグリセロ-ルを使用した緩慢凍結法とVSIを使用したガラス化法で成熱ヤギ卵巣組織片のー196℃保存を試みた。保護物質の除去は段階的希釈法とサッカロ-ス加PBSによる希釈法で行ない、光顕と電顕により観察した。緩慢凍結法で保存された組織片では氷晶形成と希釈ショックによると考えられる損傷が認められた。損傷は細胞内小器官内部にも見られた。ガラス化法でー196℃に冷却された組織片では主に化学的毒性と希釈ショックによると考えられる損傷が見られた。化学的毒性による損傷は、主に核濃縮と膜融合による細胞内小器官の破壊であった。緩慢凍結法,ガラス化法のいずれも、冷却・加温,保護物質の添加・除去等の処理条件に改良が必要であると考えられる。
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