枝肉横断面ロ-ス芯周辺の画像解析情報から黒毛和種去勢肥育牛の枝肉構成を予測することの可能性について検討した。材料牛としては農林水産省草地試験場で肥育された14〜30ケ月齢の黒毛和種去勢肥育牛38頭を用いた。画像解析に取り上げた特徴パラメ-タは、第5ー6助骨間枝肉横断面胸椎側1/3領域すなわちロ-ス芯周辺の全体面積、全筋肉面積、全脂肪面積及び全骨面積、筋肉については僧帽筋と最長筋の面積、周囲長、長径、短径及び重心の位置であった。画像解析には、富士通画像情報システムFIVISを利用した。一方、枝肉構成としては、赤肉重量、脂肪重量、骨重量の絶対量とそれらの枝肉全体に占める割合を取り上げた。枝肉構成の画像解析情報に対する変数増減型の重回帰分析を行った。さらに取り上げられる変数の安定性をみるために38頭の中から無作為に選んだ34頭のデ-タを使って重回帰分析を行い、この操作を20回繰り返すことにより、20個の重回帰式を得た。それらの重回帰式に取り込まれた変数を比較することにより、変数の安定性を調べた。この結果、赤肉歩留については、全体面積あるいは全脂肪面積が最もよくその変動を説明するようであった。しかし、全脂肪面積割合や皮下脂肪面積割合だけでもよくその変動を説明した。脂肪割合と骨割合については全脂肪面積割合が最もよくその変動を説明した。それらの重回帰式の自由度調整済寄与率R^^ー^2はそれぞれ0.727、0.864及び0.905であった。重量については、全体面積が最もよくそれらの変動を説明した。また、重心間の距離もいくつかの重回帰式に取り込まれ、いずれの重回帰式もR^^ー^2は0.9前後であった。全体的にみて、周囲長、長径、短径については面積のもつ情報の中にその情報が含まれてしまっていると考えられ、枝肉構成を説明するという点で面積よりも劣るものと推察される。
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