後腸発酵動物の大腸機能、特に微生物消化にとって重要な内容物貯留能について、動物種間で比較し、繊維消化能力及び盲腸内発酵パタ-ン(短鎖脂脂酸組成)の違いとの関連性を調べることを目的として、以下の点を検討した。 1.アルファルファを50%含有する飼料を与えたウサギ、モルモット、ヌ-トリア、デグ-、オオミミマウスの飼料繊維等の消化率の測定、ならびに消化管内容物マ-カ-用いて測定した、内容物通過速度および大腸の内容物貯留機能の動物間比較: 本研究で用いた動物は、ウサギを除いてすべて南米原産の齧歯類である。これらの動物種は、繊維の消化率は体重の大きな動物ほど高く、消化管のvolumeは体重にほぼ比例するので、消化管は単一の貯留槽で、内容物は均一に混合され貯留されることが示唆された。しかしながら、ウサギは特異な内容物貯留機能を持ち、低い繊維消化率を示した。 上記の動物について調べた消化管内容物滞留時間に、組成の同じ飼料でこれまでに調べたラット、ハタネズミ、マ-ラおよびハムスタ-のデ-タを加えて検討した結果、繊維の消化能力は微生物発酵槽である大腸の内容物貯留能に支配されるが、大腸の貯留機能は必ずしも体重に密接に関連するものではなく、それぞれの動物に独特の貯留機能が備わっており、繊維消化能もその機能に応じて異なることが明らかになり、後腸発酵動物の消化管を単一のモデルとして解析することは不可能であることが示された。 2.同一飼料条件下で飼育した動物間の、消化管(特に大腸)内の低級脂肪酸の濃度、量および組成の比較: 盲腸内の有機酸の大部分を占める短鎖脂肪酸は、動物種によってその組成が異なり、消化管機能の違いを反映することが推察された。
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