異なる繊維消化率を呈する動物種間で、大腸内微生物の繊維分解活性が内容物貯留機能の違いと関連した差異があるかどうかを検討するために以下について検討した。 1.大腸内微生物のin vitro繊維分解活性 同一飼料条件下で飼育したモルモット、ラット、オオミミマウスの大腸内容物からイノキュラムを調製し、基質としてセルロ-スを用いて嫌気培養し、基質の残存量から分解率を算出した。なお培養手順はMann(1967)の方法を一部改良したものに準じた。 培養に用いた培地は、その中に微生物体を除いたル-メン液を加えたものと加えないものの2種類用いた。セルロ-スの分解活性は同一動物種内で培地の組成によって異なり、動物によって高い活性を示す培地が異なった。このことは、セルロ-ス分解活性を同一条件下で比較することは困難であるが、各動物の大腸内微生物叢が、同一飼料で飼育しても異なることを示しており、腸管の内容物貯留機能と関連した動物種間差と推察できる。 ラットでは今回の大腸内容物をイノキュラムにしたin vitro繊維分解活性は高い値を示したが、前年度の試験で示されたように、3種の動物の中では繊維の消化率が最も低いことから、大腸での内容物の移行様式が微生物消化に不利なパタ-ンであることが推察される。 2.産生された短鎖脂肪酸の比較 前項で示した培養後に培地中に蓄積された短鎖脂肪酸は、その組成が動物種間で異なり、その差異はセルロ-ス分解活性と関連するように考えられた。また、この同一培地内での動物種間差は、動物種による微生物叢の違いを示すものと考えられる。
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