研究概要 |
平成3年度は次の2つの実験をおこなった。 (1)マルチ法による"地表根"発生試験:この試験のねらいは,イネ科主体の草地で,牧草の茎葉部が繁茂した状態のとき,地表面に多くの白色の根→地表根,を見ることができる。著者はこの地表根をR層構成因子と考えて,マルチ法で人為的に千表根を発生させる際の環境条件を検討した。その結果は以下のように要約できる。(i)マルチ区での地表根発生は処理24日後からみられ,0〜2mmは極薄マルチ内の根量の方が土中の普通根より多く認められた。(ii)マルチ内の微気象は,日射量が外気の1%,地際湿度が約100%,地際気温は晴天時の180〜130%であった。(iii)地上のため根の伸長を妨げる物理的障害物が存在しない,等々の環境条件がととのうと,根の屈地性という植物生理の原則に逆らって,上方向でも根が伸長する。 (2)人工装置における"地表根"発生試験:先の試験から地表根発生装置を試作し,地表根の初期形態を詳細に検討した。得られた結果の要約は次のとおり。(i)裁培開始後の地表根出現日数はKBG22日,IRG40日,Tin43,OG44,PRG50,TF51,RT57,MF64日であった。(ii)"地表根"総延長はライグラス系で大きかった。(iii)地表根の根径は草種別に大差なく200〜300μmの離囲であった。これは,普通根の1次根500〜600μmの約半分である。 以上のように,本研究によって地表根の出現条件や初期形態などが明らかになった。
|