研究概要 |
前年度の研究にひきつずきマウスあるいはラット由来のハイブリド-マ細胞より牛、水牛、山羊および馬の赤血球抗原に対するモノクロ-ナル抗体を作成し、腹水化により高力価抗体の量的確保に努めると共に、牛については1991ー1992年の国際比較同定試験に参加した。試験結果については平成4年8月の国際学会において専門委員会により明らかにされる。 牛においてこれまでに作成された抗体は33種であり、これらを用いて牛、水牛、山羊の赤血球抗原を分析した結果、AシステムのA_2やFシステムのFc抗原が牛のみならが水牛や山羊にも共通抗原として存在することが判明した。牛、水牛では全個体がFc抗原を保有していたのに対し、山羊では69頭中11頭が、逆にA_2抗原は全個体が保有していた。 水牛で作成された抗体は12種である。NWー1とNWー2抗体のとらえる抗原は対立関係にあり、これら抗原の有無により沼沢水牛は2グル-プに分類された。またNWー2とNWー3抗原は直線的亜型関係にあると思われた。得られた抗体のうち3種、即ちNWー4およびNWー11抗体は牛のAシステムのA_2およびH抗原を、またNWー6抗体はSシステムのSとUとの共通原部位を認識する抗体であった。 馬においてこれまでに作成された抗体はAシステムのAa,A_2,CシステムのCa、PシステムのPa,Pcであったが、今回AシステムのAbを得、計6種となった。これを用いて分析した結果、AaおよびCa抗原の出現頻度は軽種馬が0.890および0.390であるのに対し、重輓馬では0.485および0.763と両者間で異なる値を示した。また抗体に対する重輓馬のCa抗原反応性(平均3,200倍)は軽種馬のそれ(平均800倍)に比べ明らかに強いという興味深い成績を示した。
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