研究概要 |
1.給与した尿素あるいはその分解物であるアンモニアが盲腸に出現するかどうかを調べるため,通常鶏と人工肛門鶏に[ ^<15>N]尿素を給与して6時間後に盲腸内へ[ ^<15>N]化合物が出現するかどうかを調べた。その結果盲腸内には多量の ^<15>Nを認め,このうち1/4〜1/5はアンモニア態であったが尿素ー ^<15>Nを検出できなかった。しかし、盲腸内の総 ^<15>Nとアンモニアー ^<15>Nおよび結直腸の総 ^<15>Nは,通常鶏が人工肛門鶏より多く,通常鶏の結直腸には多量の尿素ー ^<15>Nが認められた。 2.尿素給与後6時間ではまだ通常鶏と人工肛門鶏の窒素利用率に差がみられなかったことから,尿素給与後10時間のニワトリで尿素窒素の蓄積率が,人工肛門鶏より通常鶏で高いことを確認することともに盲腸内に少量であるが尿素を,またアンモニアー ^<15>Nおよびこれら以外の多量の ^<15>Nを確認した。またこの時,通常鶏の結直腸に多量の総 ^<15>N,尿素ー ^<15>Nおよびアンモニアー ^<15>Nを認めた。 3.ニワトリの盲腸内に投与した[ ^<15>N]尿素の分解と吸収を調べた結果,尿素投与後60分に盲腸内に残存した ^<15>Nは投与量の26%で,アンモニアー ^<15>N,尿素ー ^<15>Nおよび蛋白態 ^<15>Nはそれぞれ1.5%,4.0%,5.2%と少なく,大部分はこれら以外のNPNの形で存在した。60分間に盲腸静脈血に出現したアンモニアー ^<15>Nは投与量のわずか1.6%,尿素ー ^<15>Nは16.2%でこれら以外のNPNや蛋白態 ^<15>Nが多かった。この結果から,尿素ー ^<15>Nは一部そのままで吸収されるが,大部分はアンモニアや他の窒素化合物に転換して吸収されることが明らかになった。
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