3ケ月齢まで代用乳給与を継続して食道溝反射を維持させたホルスタイン種雄子牛(初体重約90kg)に大麦主体の濃厚飼料(CP10.5%)と稲ワラを準不断給与し、さらに食道溝経由でカゼイン、コ-ン・グルテンミ-ル(CGM)またはCGMにリジンを加えてバイパス投与した場合(それぞれLC、LGおよびLGL区と、等N量のカゼインまたは尿素を濃厚飼料に添加して食べさせた場合(それぞれSCおよびSU区)との間で4週間の増体量を比較した。供試子牛計65頭は4回に分けて導入され、SC区には12頭、SU区には10頭、LC区には15頭、LG区には14頭、LGL区には14頭が割り振られた。補足蛋白質および尿素の投与量は濃厚飼料のCP含量を14.5%まで高めるに足る量とし、LGL区に対してはそれに加えて濃厚飼料1kg当たり4.13gのLーリジン塩酸塩を投与した。なおカゼイン、尿素はもとより大麦のCPも第一胃内分解率が著しく高く、それらに由来するバイパス蛋白質は少ないものと考えられる。その結果、(1)SCーLC間で1日増体量(DG)に差がなかったことから、3ヶ月齢以降では第一胃内で合成される微生物態蛋白質だけでも宿主の蛋白質要求量がかなりの程度に満足されること、(2)しかしSU区のDGはSC区より有意(P<0.01)に劣ったことから、低蛋白飼料または高尿素飼料の給与時には微生物態蛋白質だけでは宿主要求量が満足されないこと、(3)LGL区のDGはLG区よりも有意に高く(P<0.02)、LC区のDGに匹適したことから、3ケ月齢以上の子牛においてバイパス蛋白質が必要な場合でもその利用性はアミノ酸組成または生物価によること、などが示唆された。
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