研究概要 |
研究は1)喉頭粘膜の機械的、化学的刺激に対する感覚受容器の応答性と呼吸反射、2)実験的気道過敏症モデル作出の2項目に関して重点的に行われた。成績の概要は下記の通りである。 1)モルモット喉頭部の感覚を支配する上喉頭神経内枝から、求心性活動を電気生理学的に記録することにより、感覚受容器の種類を同定した。その結果、irritant receptor(20%),pressure receptor(20%),drive receptor(38%)を同定することができた。irritant receptorは粘膜に作用させた機械的触刺激、各種化学的刺激に対して鋭敏に応答した。大多数のirritant receptorは水(蒸留水)刺激に応答し、生理食塩水には応答しなかった。それらのうち約半数は等張のデキストロ-ス溶液にも応答したが、残りの約半数はこれには応答しなかった。irri tant receptorが水で刺激される機序として、浸透圧差によるものと、溶液中の塩素イオンの欠如による場合とが考えられた。irritant receptorのこのような感覚受容特性は、咳反射や気管支収縮の発現に深く関与していることが示唆された。つぎに、モルモットの咳頭部にcapsaicinを作用させ、呼吸活動への影響を追求した。その結果、capsaicin作用の直後から著しい呼吸抑制が生じることがわかった。この反射は上喉頭神経を介することがわかった。また、最初の1回目のcapsaicin作用によってdesensitizationを受けることが明らかになった。大多数のirritant receptorはcapsaicinで刺激されなかったが、Cーfiberはcapsaicinによって強く刺激された。 2)ascarisおよびegg albuminを抗原としてモルモットを感作し、気道反応の経時的変化をボディプレチスモグラフ測定法により調べた。その結果、抗原エ-ロソルを吸入後、1時間前後と10〜15時間に気道反応が亢進した。後者のピ-クは遅発型反応に類似した。これらの反応はegg albuminで比較的起こしやすかった。
|