研究概要 |
種々動物の血管内腔に位置する内皮細胞で果す役割を、電気生理学的・薬理学的手法により解明し以下の結果を得た。[結果]電気生理学的研究から,(イ)微少ガラス電極を内皮細胞に挿入すると概収ー20〜ー40mVの膜電位が導出されたが,自発性の膜電位変動は記録されなかった。導出に成巧した細胞の約1/3において膜電位が0〜5mVと極めて浅いものが正常値を示したと解する否か目下検討を加えている。(ロ)パッチクランプ法により細胞膜固定(電位固定)下に全膜電流を測定する実験では,心筋成いは平滑筋細胞等で報告のある自発性のCa^<++>活性化カリウム電流は内皮細胞においては記録し難いが,陽イオン非選択性チャネル電流の導出は容易であった。保持参位を40ーmVからOmVに脱分極させると一過性のクロライド電流が導出された。この電流は細胞外Ca^<++>濃度を10^<ー8>以下又は細胞内Ca^<++>濃度を2×10^<ー8>以下にEGTA buffer処置するこにより導出されなくなることが分かった。微少細胞膜から単一のチャネル電流を導出すると,Na^+,K^+およびCa^<++>に対し等比の透過性を示す単一の非選択性陽イオンチャネルが記録された.このチャネルは膜電位を0mVに保持すると活性化された状態を保つが,脱分極又は追分極側(OmV側を基点とすると)にシフトするチャネルの開口は漸次開口することが示された.開口から閉口までに要する時間は段階的電位の大きさに依存し,大きい電位では速やかにチャネルは説活性化状態になった。この非選択性陽イオンチャネルのコンダクタンスは300〜400pSであった。薬理学的手法から,内皮細胞から放出される因子の中EDRFとEOHFが同一物質であるか否かの検討を行っているが、内皮細胞上の受谷体刺激(AChとSP又はスロンビン)により血管平清筋の弛緩反応と平滑筋細胞の過分極反応にパラリズムが認められないことがあることから両者が同一物質とは考え難い成果も得られている。
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