研究概要 |
Iホロホロ鳥下垂体の滬胞腔内への分泌過程を検討した。その為にトリパンブル-を頸動脈より注入し,経時的に観察した。その結果:(1)トリパンブル-色素粒子の局在は滬胞構造周囲の毛細血管内に先ず存在していた。(2)次に毛細血管周囲腔に存在していた。(3)更に滬胞構造内の滬胞星細胞の細胞貭突起内に存在していた。(4)滬胞腔内にもトリパンブル-色素粒子は認めらまた。(5)滬胞構造内の各分泌細胞内にトリパンブル-色素粒子は認められなかった。これらはいずれも新知見であるが,トリパンブル-色素粒子の経時的局在より,滬胞腔内への物貭の移動および滬胞腔内物貭の毛細血管への移動に滬胞星細胞が深く関与していることが判明した。また,この滬胞星細胞が滬胞腔壁を構成していることから,各分泌細胞の分泌顆粒の滬胞腔内への放出と毛細血管側への分泌に深く関連していることが推察された。II.精巣や卵巣摘出時のこの滬胞星細胞の役割について検討した。その結果:(1)滬胞腔は拡大し,滬胞腔内に内容物は殆んど見られなかった。(2)所謂去勢による印環細胞の周囲の滬胞星細胞の細胞貭突起は良く発達し,印環細胞の周囲を覆っているようであった(新知見)。(3)滬胞壁を構成している滬胞星細胞の自由縁比較的平滑で,マイクロビラエ等も発達が悪かった(親知見)。(4)この滬胞壁の滬胞星細胞は滬胞腔の拡大に伴って,肥大し,細胞内小器管の発達は悪いが,細胞内は無構造の物貭で充満していた(新知見)。(5)毛細血管側の基底膜に接した滬胞星細胞の細胞貭突起は神経細胞のシナプスの様な三角形を呈し,基底膜との接触面を拡大していた(新知見)。これは去勢による下垂体ホルモン分泌に滬胞星細胞が深く関与しているということを示唆するものである。
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