研究概要 |
平成4年度は最終年度なのでホロホロ鳥下垂体濾胞構造の三次元構築を検討した。下垂体をパラフインに常法通り包埋し、3μあるいは10μの矢状,水平および横断の各連続切片を作製し,PAS‐hematoxylinで染色し,ピアスの画像解析システムLA‐525Rにより,各切片を用いて濾胞の分布やサイズを測定し,オリンパスの三次元画像解析システムOZにより立体構築を行ない,普遍的な構造を求めた。ピアスの画像解析システムLA‐525Rにより,各切片を用いて濾胞の分布,即ち索状構造を調べると,組織切片において索状に見える細胞の配列は,中央の濾胞腔を取り囲んだ数層(2〜3層の場合が最も多い)の前葉細胞の集団の断面を示すものであることが判明した。また,三次元画像解析を行なうと,このような細胞集団の外形は濾胞腔の形(一般に円筒形のものが多い)に応じて球形から円筒形をとり,更にまたこれらの球もしくは円筒形の各細胞集団は不規則なY字型あるいは樹枝状に分れて,隣接の集団と連なり,複雑な網状構造を形成している。この前葉細胞の集団からなる複雑な網状構造の間隙を埋める少量の結合織と,この中に含まれる毛細血管は,これはまた複雑な網状の走路をとり,各細胞集団の表層に蜜に分布している。しかし,濾胞腔は球もしくは円筒形であると共に,いずれも前葉細胞の集団ないに盲襄を形成し,この内腔ガ隣接する濾胞腔と直接交通するようなことはなかったが,Y字に分枝する可能性はあると思われた。濾胞腔の形は矢状断で円あるいは楕円形が多いが,立体的には球もしくは両端が盲端に終わる円筒形であり,大きさは大小様々であったが,中には短径30μ,長径1mmに達する大型のものも見られた。また,濾胞腔を取り囲む前葉細胞の配列は,濾胞腔に面して比較的整然と配列されていることが判明した。以上のことから鳥類の下垂体の前葉は濾胞が前葉機能の最小単位を代表することが強く示唆された。
|