研究概要 |
平成2年度は以下の点について検討した. 1抵抗血管での受容体を介する収縮を解析する前提として、まず太い血管でのα_1受容体を介する収縮にCa遊離,Ca流入およびそれ以外の要素がどの様に関わっているかを検討した。ラット大動脈のフェニレフリン収縮を解析したところα_1受容体興奮による初期の一過性収縮にはCa遊離が,持続性収縮には細胞膜CaチャンネルからのCa流入に依存する要素と,それには依存せずプロティンキナ-ゼCが関与する要素があることが明らかとなった.この結果はBritish Journal of Pharmacologyに発表した. 2太い血管(モルモット大動脈)でCaチャンネルからのCa流入とCa遊離の関係を検討したところ生理的量のCa流入は筋小胞体からCa遊離を引き起こし,収縮を増幅することが明らかとなった.この結果は現在American Journal of Physiologyに印刷予定である. 3ラット腸間膜動脈潅流標本を用いて細胞内CaストアからのCa遊離による収縮を測定する条件を検討した.その条件を確立した上で抵抗血管平滑筋に“CaによるCa遊離"機構が存在するかどうか検討した.その結果,抵抗血管にも“CaによるCa遊離"機構が存在すること,それはCaチャンネルからのCa流入によって引き起こされることがわかった.このことは前記2)と同様機構が抵抗血管にも存在することを示すものである.この結果は第63回日本薬理学会総会,第110回日本獣医学会で発表し,第64回日本薬理学会総会でその後のデ-タを発表予定である.
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