研究概要 |
本研究は比較的問題もなく現在まで進行している。その成果は科学研究費補助金交付申請書に沿って記載する。 1.収縮力記録実験 (1)胎児(妊娠21日齢)または成熟(4カ月齢)ラット摘出心室筋におけるouabainの収縮力増大作用の検討:ouabainは胎児および成熟ラットにおいて、低濃度部分と高濃度部分の2相性の収縮力増大作用を発現した。しかし、胎児では低濃度部分は有意に低かった。 (2)薬理学的拮抗薬およびNaチャンネルに特異的に作用する神経毒素存在下におけるouabainの収縮力増大作用の検討:成熟ラットにおけるouabainの収縮力増大作用は抗アドレナリン作動薬および抗ヒスタミン作動薬には全く影響を受けなかった。しかし、veratridineは低濃度および高濃度作用を明らかに増加した。 (3)胎児および成熟ラット摘出心室筋におけるNaチャンネルに特異的に作用する神経毒素の収縮力の減少または増大作用の検討:tetrodotoxinは胎児および成熟ラットにおいて濃度依存的に収縮力を減少させた、一方veratridine,anemonia sulcata toxin,androctonus australis toxin,は収縮力を増大させた。しかし、これら全ての毒素において胎児では成熟ラットと同等量の作用を発現させるには有意に高濃度を必要とした。また、centruroides sculpturatus toxinは成熟ラットでは収縮力を増大させるが、胎児はラットではその作用は観察されなかった。 2.(^3H)ouabain結合実験 ラット心室筋ホモジェネイトに対する(^3H)ouabain結合は約15分で最大に達し、その後は安定であったことから、scatchard plot解析のための培養時間は30分とした。本実験は現在進行中であり、本年度中には終了の予定である。
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