飼料に混在する糸状菌がA.flavus株のアフラトキシン産生に影響を及ぼす可能性についてRhizopus株を用いて検討した。A.flavus株単独培養例とRhizopus株との混合培養例のAFB_1量を調べると、混合培養例のAFB_1量が著しく少なかった。このことは、鶏用飼料と精白米のいずれを基質とした実験においても認められた。Rhizopus株がアフラトキシンを分解しているか、あるいは産生抑制している可能性が示唆された。また、精白米培地に添加する水分量を変えた場合、高水分量での混合培養例のAFB_1量の減少がより明らかであり、両菌種の発育条件も関与していると考えられた。 アフラトキシンの分解あるいは産生抑制のいずれが起きているかを調べるために、A.flavus株を培養後高圧滅菌してさらにRhizopus株を接種・培養した場合と、その逆の場合を設け、A.flavus株単独培養例のアフラトキシン産生量と比較した。A.flavus株を先に培養した群のアフラトキシン量は、対照群より著しく少なく、Rhizopus株によってアフラトキシンが分解されていることが示された。他方、Rhizopus株を前培養した群でもアフラトキシン量が極めて少なかったことから、Rhizopus株の前培養によってA.flavus株のアフラトキシン産生を阻害する因子が産生されたものか、単なる栄養素の枯渇によるものと考えられた。 精白米培地にA.flavus株とRhizopus株を単独あるいは同時に接種して培養すると、それぞれ、濃緑色、灰白色、両者の混在した色調を呈したが、これらを高圧滅菌すると、緑灰色〜緑褐色、淡黄色〜黄褐色、赤褐色〜黒褐色に変わり、混合培養により赤褐色系統の物質が蓄積していると考えられた。そこで、versicolorin Aなどの中間代謝産物の検索を文献報告に従って実施したが検出できなかった。
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