研究概要 |
東京都内のレストランおよび飲食店13ヵ所で捕獲したネズミ(主にクマネズミ)における人畜共通病原細菌の保有状況,菌種,生物型あるいは血清型は次のようであった。 1.Salmonellaの検出率は1.5%(17/1129)で,菌種はすべてS.choleraesuis subsp.choleraesuisであった。出現血清型はS.enteritidis,S.hadar,S.Isangi,S.Litchfield,S.senftenberg,S.typhmurium,その他(4株)であった。 2.Yersiniaの検出率は31.6%(364/1169)で,菌種はY.frederiksenii(16.8%),Y.entermedia(4.3%),Y.kristensenii(1.1%),Y.rohdei(0.3%),Y.enterocolitica(15.1%)であった。 3.Staphylococcus aureusの検出率は20.1%(193/960)で,生物型はA,G,C,B,Dで,Aが最も高い検出率で48.2%であった。コアグラ-ゼ型は,V型が最も高い検出率(48.7%)であった。ついで,VII,VIII,III,I,II,IV型の順であった。A型エンテロトキシンの産生株が多かった。B型およびC型産生株も認められた。 4.Vibrioの検出率は13.3%(71/534)で,菌種はV.cholerae nonー01(6.2%),V.flavialis(5.6%),V.parahaemblyticus(1.5%),V.alginolyticus(3.2%),V.furnissii(2.6%),V.metschnikovii(0.7%)であった。V.parahaemolyticusは26血清型に分かれ,神奈川現象はすべて陰性であった。 5.Listeriaの検出率は19.5%(135/694)で,菌種はL.monocytogenes(8.9%.62/694)とL.innocua(10.5%,73/694)であった。L.monocytogenesの血清型は46,1/2b,1/2a,1/2c,3c,7の順に多く検出された。捕獲場所別の検出率に有意差が認められた。 6.Campy labacterは検出されなかった(0/519)。また,Leptospiraも,100検体の腎乳剤を培養あるいはモルモット腹腔接種したが,すべて陰性であった。5種の内部寄生虫が検出された。
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