1.発表論文 本年度は日本産マツヒラタハバチ相の研究に加えて、中国四川省、台湾産の資料を研究し、次の2論文を発表した。 (1)中国四川省のヒラタハバチ。 神戸大学四川省学術調査隊によって、1990年に3種のヒラタハバチが採集された。このうちの1種はCephalcia属マツヒラタハバチの未記載種であることが判明したのでCephalcia sichuanicaとして記載・命名した。これにより、中国大陸には少なくとも32種のヒラタハバチが産することが明らかになった。 (2)台湾のヒラタハバチ。 台湾のマツヒラタハバチ亜科は、これまで大陸と共通のAcantholyda flavomarginata Maa1種のみが知られていたが、本研究の過程で新たにAcantholyda属とCephalcia属のそれぞれ1種が発見され、いづれも未記載種であることが判明したので、Acantholyda taiwana、Cephalcia chuiとして記載・命名した。また台湾産の3種のマツヒラタハバチの検索表を付した。 2.野外調査 平成3年6月17日より26日まで北海道後志支庁中山峠、十勝支庁糠平、山田温泉付近を中心に、また同年8月4日から9日まで長野県茅野市の八ケ岳美濃戸付近でおもに成虫の研究資料収集を目的とした調査をおこない、Cephalcia属3種とAcantholyda属1種のマツヒラタハバチを採集した。このうちCephalcia属の1種は未記載種、他の2種はこれまでごく少数の標本しか得られていない種であった。これらについては既存の資料と比較・検討のうえ、学会誌に論文として発表する予定である。
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