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1990 年度 実績報告書

腺の分泌機能に対応する分布血管の可塑性

研究課題

研究課題/領域番号 02670009
研究機関大阪大学

研究代表者

藤田 尚男  大阪大学, 医学部, 教授 (50033949)

キーワード甲状腺 / 毛細血管 / 血管の可塑性 / 腺の分泌機能 / 血管の鑄型 / 血管の発芽 / 走査電子顕微鏡
研究概要

結合組織腔へ出たホルモンは、蛋白と結合して血管に入り、方々の器官へ運ばれる。甲状腺に分布する毛細血管は、内皮細胞に数多くの窓があり、この窓を通ってホルモンは血管腔に入る。この窓の分布は、甲状腺の機能によって変動する。TSHを投与し続け、甲状腺の機能亢進状態を続けていると、その数(密度)が増加するし、逆に甲状腺末の投与を続けて機能低下状態におくと減少する。
動物の血管にメタクリ-ル樹脂を注入し硬化させて血管の鑄型を作り、血管以外の部分を溶かして走査型電子顕微鏡で観察すると、サル、イヌ、ラット、マウスではそれぞれの濾胞を密な毛細血管網が篭状に囲んでいることがわかる。
低ヨ-ド料や抗甲状腺剤であるプロピルサイオウラシ-ル(PTU)を動物に与え続け、フィ-ドバックにより下垂体からのTSHの分泌を盛んならしめておくと、毛細血管は太くなったり、発芽(sprouting)することにより血管が新生されて吻合しあう。血管の増殖はそれに密接する線維茅細胞に大きい影響をうけると考えられる。このさい ^3Hーチミジンのオ-トラジオグラフをおこなうと血管内皮と血管用囲腔にDNA合成細胞がいちじるしく増加している。
甲状腺剤を投与し続けて、フィ-ドバックによりTSHの分泌を抑えると、分布血管は退化し、吻合は減り、血管腔もいちじるしく細くなる。
このように甲状腺の血管の構造は、その機能に対応して絶えず変化している。つまり分布血管にはその器官の機能を反映する可塑性がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 千田 隆夫,伴 忠延,藤田 尚男: "下垂体前葉細胞の分泌機転に関する二,三の知見" 解剖誌. 65. 237 (1990)

  • [文献書誌] 藤田 尚男(垂井 清一郎,葛谷 健編): "膵島の機能形態学" 糖尿病学(朝倉書店). 18-27 (1990)

  • [文献書誌] Kurihara,H.,Uchida,K.,Fujita,H.: "Distribution of microtubules and microfilaments in thyroid follicular epithelial cells of normal,TSHーtreatcd,aged and hypophysectomized rats." Histochemictry. 93. 335-345 (1990)

  • [文献書誌] 藤田 尚男: "甲状腺" 臨床科学. 26. 1463-1473 (1990)

  • [文献書誌] Fujita,H.,Senda,T.,Yabu,M.,Imada,M.: "On the plasticity of the blood vessels in the thyroid gland." Cell Tissue Research. (1991)

  • [文献書誌] Fujita,H.,Imada,M.: "Scanning Electron Microswpy of Vascular Casts:Methods and applications (Blood vascular casts of the thyroid gland in normal and experimental conditions)" Kluwoer Acad.publishers, (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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