内分泌腺は分泌物の性状により、ペプチドないし蛋白分泌腺、アミン分泌腺、ステロイド分泌腺、ヨ-ド化アミノ酸誘導体分泌腺にわけられる。これらのすべてを通じ、腺細胞から血管用囲腔(組織液)に分泌されたホルモンは、毛細血管内皮のまど(fenestrationc)を通って血管腔に入ることが知られている。甲状腺ではこのまどの分布がホルモン分泌機能に応じて変動する。TSHを投与し続け機能亢進状態にすると、その数が増加するし、甲状腺末の投与を続けて機能低下状態におくと減少する。 動物の濾血管にメサクリ-ル樹脂を注入して硬化させて血管の鑄型を作り、走査型電子顕微鏡で観察すると、サル、イヌ、ラット、マウスではそれぞれの濾胞を密な毛細血管網が篭状に囲んでいることがわかる。 低ヨ-ド飼料や抗甲状腺剤であるプロピルサイオウラン-ル(PTU)を動物に与え続け、フィ-ドバックにより下垂体前葉からのTSHの分泌を盛んならしめておくと、毛細血管はいちじるしく太くなり吻合しあう。 ^3Hーチミジンのオ-トラジオグラフをおこなうと内皮細胞および腺維芽細胞が増加することがわかる。血管の発芽(sprouting)するところには線維芽細胞や周皮細胞が集まり、内皮にはしばしば数多くの血小板が接着している。内皮の発芽や増殖に血小板が関与していることが推測される。 甲状腺剤を投与し続けて、フィ-ドバックによりTSHの分泌を抑えると、分布血管は退化し、吻合はいちじるしく減少し、血管腔も細くなる。 このような血管の変化はサイロキンンでなくTSHによって起こることが考えられるが、それと線維芽細胞、周波細胞との詳細な関係はわからない。growth factorの関与は容易に推測出来るが将来の問題である。 血管の機能や構造はその分布器官の状態に対応して絶えず変化しており、先天的奇型(吻合など)と信じられているものの中にも、何らかの因果で後天的に生じた血管の異常があると推測される。血管の可塑性は強い。
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