糖の細胞内プロセッシングに関する細胞化学的研究

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 02670015
• 研究機関: 鹿児島大学
• 研究代表者: 村田 長芳 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60020765)
• 研究分担者: 加塩 信行 鹿児島大学, 医学部, 助手 (20224389) ; 井樋田 香織 鹿児島大学, 医学部, 助手 (60184793) ; 津山 新一郎 鹿児島大学, 医学部, 講師 (30041346)
• キーワード: 超薄切片染色法 / 包埋前染色法 / レクチン / ゴルジ装置 / 核膜周囲腔 / 粗面小胞体 / 分泌顆粒 / glycosylation

研究概要

(1)レクチンを用いた超薄切片染色法によるglycosylation processの解析。Lowicryl K4Mのラット十二指腸ブルンネル氏腺を用い、超薄切片染色法によりglycosylation sitesの解析を行なった。ゴルジ装置のcis側はHPA,DBAにより標識された。ゴルジ装置のtrans側、それに続く分泌顆粒はHPAとRCAー1で標識された。UEAー1はゴルジ装置のtransmost側を標識した。HPAはcis.transの他、ゴルジ層板の全層を標識する傾向があるが、この違いは細胞、細胞によるものと思われる。超薄切片染色法によりブルンネル氏腺でのglycosylationの過程が明らかになった。
(2)レクチンを用いた包埋前染色法によるglycosylation processの解析。
ラット胃底腺の被覆上皮細胞を用いて、包埋前染色法によりglycosylation sitesの解析を行なった。MPAは同細胞の核膜周囲腔、粗面小胞体内腔、ゴルジ装置のcis側を標識した。DBAもMPAとほぼ同じゴルジ装置のcis側を標識した。一方、PNAはゴルジ層板の中間層を標識した。ゴルジ装置のtrans側はRCAー1及びLFAにより標識され、未熟顆粒はRCAー1で弱く標識され、一方未熟顆粒も成熟顆粒も共にLFAで標識された。用いたレクチンは同じではないが、これら二方法により、ゴルジ装置を中心としてterminal glycosylationのプロセスがかなり判明した。
(3)血液型モノクロ-ナル抗体を用いてのglycosylation processの解析。
ヒトエクリン汗腺暗調細胞でのglycosylation processをゴルジ装置を中心に観察すると抗A抗体は層板全部を標識する。一方抗B、抗H抗体はゴルジ装置のtrans側を標識し、ゴルジ装置での標識パタ-ンは極性を有する事が明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] 村田 長芳,四本 信一: "Desmosome(DS)とhemidesmosome(HDS)" 医学のあゆみ. 154. 363 (1990)
• [文献書誌] Yotsumoto,S.,Tsuyama,S.,Tashiro,M.,Murata,F.: "Ultracytochemistry of glycoconjugates in rat Brunner's gland." J.Electron Microsc.39. 26-32 (1990)
• [文献書誌] Ihida,K.,Tsuyama,S & Murata,F.: "The use of Griffonia simplicifolia agglutininー1B4 in staining the developing rat fundic gland." Acta Histochem.Cytochem.23. 475-486 (1990)
• [文献書誌] Yotsumoto,S.,Tsuyama,S.,Tashiro,M.,Murata,F.: "Ultrastructural immunocytochemical studies of blood group substance in human eccrine glands." J.Histochem.Cytochem.39. 1815-1821 (1990)
• [文献書誌] Ihida,K.,Tsuyama,S.,Kashio,N.,Murata,F.: "Subcompartment sugar residues of gastric surface mucous cells studied with labeled lectins" Histochemistry. 95. (1991)
• [文献書誌] Suganuma,T.et al.: "Subcellular localization of Nーacetylglucosamide beta 1ー4 galactosyltransferase reveled by immunoelectron microscopy." J.Histochem.Cytochem.39. (1991)