研究概要 |
実験動物として,老化促進および老年期脳障害(学習・記憶障害)を惹起する老化マウスSAMーP8とウイスタ-系ラットを用いた。生後2日目にCapsaicin(CP)を50mg/kgの割合で皮下注し,生後20日目に観察する群を実験群とし、未処置のマウスおよびラットをコントロ-ル群とした。コントロ-ル群は周生期(胎生19日目〜生後20日目まで)を観察する時期とした。なお,実験群は生後7日目以降にCPを同じような処置をしたものも含まれる。検索方法は,(1)通常の純形態学的光顕・電顕検索,(2)酵素(テアミンモノフォウクァタ-ゼ:TMP)光顕・電顕検索,(3)免疫(カルシトニン遺伝関連ペプチド:CGRP)である。これらのうち,(2)のTMP検索で興味あるデ-タが得られた。 実験群で2日目と7日目(生後)にCP処置では異なるデ-タが得られ、7日目までは痛み機構は成立していないのではないかということが示唆された。TMPは脊髄後角から三叉神経脊髄核尾側亜核に至る膠様質にある機有なシナプス複合体と脊髄後根神経後から三叉神経節の小型神経細胞のゴルジ装置に陽性所見を酵素である。正常(未処置)発達において、ラット及びマウスでは生後7日目に至って成熟期と同様な反応パタ-ンを示す。生後2日目はまだこれらの痛み機構は完成しておらず、この時期にCAP処置すると不可逆性の変化を紹来する。生後7日目以降では成熟期と同様な形態を示し、ある程度痛みは発動していると思われる。7日目でのCAP処置では可逆性の変性所見を示すことが、2日目での処置と異なる点である。
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