研究概要 |
ギャップ結合蛋白質のうちアミノ酸配列の解明されている肝臓21kと27k蛋白質の細胞内に顔を出しているアミノ酸配列に対する抗体を作成し、ギャップ結合の機能を解明するために用いた。作成した抗体は免疫組織染色やイムノプロットに使用可能で以下のことを解明できた。 肝臓のギャップ結合蛋白質は二種類より構成され,その構成比率は動物種により異なった。肝臓のギャップ結合蛋白質は,培養後速やかに消失した。肝臓由来の培養細胞には細胞間連絡が認められた。この細胞間連絡の機能に対する抗体の阻害効果を調べるために,細胞内に蛍光色素と抗体を同時に注入したところ,蛍光色素の移動が素早いため抗体の阻害効果は観察できなかった。抗体の認識部位が機能制御部とは異なる可能性も考えられる。 ラット外分泌腺の唾液腺腺房細胞のギャップ結合を調べたところ,主に27k蛋白質で構成されていた。一部,21k蛋白質の存在も確認された。導管部の一部に21k蛋白質で構成されたギャップ結合が認められた。自律神経作動薬で唾液腺のギャップ結合蛋白質の機能は,抑制されることより27k蛋白質の機能は細胞内の情報内達系により修飾されるものと考えられる。存在比率より考えて,21k蛋白質の機能は自律神経作動薬により変化しない可能性が高い。導管部には従来ギャップ結合は存在しないと考えられていたが,今回導管部の一部に21k蛋白質のギャップ結合が存在することが認かめられた。内分泌機能や水分の再吸収になんらかの役割を果たしているようである。これら二種類のギャップ結合蛋白質の機能は異なる機能で調節されていると考えられる。
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