研究概要 |
エストロゲン優位子宮の摘出縦走筋標本を用い,収縮活動,膜の電気活動,細胞内サイクリックAMP含量を指標とし,レラキシンの効果を調べた。上記指標に関し,細胞外液へのMg,Mnイオンの添加,除去の影響を調べ,またこれらの効果を,カテコラミンβ作働薬の効果と比較考察した。縦走筋標本は分離摘出が容易であり,収量が多いためサイクリッックAMPを種々の条件下において測定し,個体別対照群との相対変動量を調べるのに適切である。 (A)収縮活動:縦走筋標本は,外液のMgの存否にかかわらず自発活動はない。電気刺激により90秒間隔で刺激すると安定した振幅の相性収縮が発生する。Mg欠除下で50mUレラキシンは収縮高を35%に,0.6mM Mg存在下で26%に抑制する。またMg存在下では対照への回復は数時間以上かかる。この間,外液Caを7.5mMに増大しても収縮増大効果は見られない。0.6mM Mnを15分間投与し,その前後において,イソプレナリン,フォルスコリンの収縮抑制は増強されたが,レラキシンの抑制効果は,Mn前処理により著しく減弱した。 (B)細胞内サイクリックのAMP含量:左記についてはレラキシン,β作働薬投与により増大し,(A)に述べた2価イオン前処理により増大度が大きくなった。 (C)膜活動:電気活動はスパイクとプラト-電位より構成される。レラキシン投与によりプラトー電位の持続時間が短縮する。静止電位は変化しない。 以上の実験結果から,レラキシンのセカンドメッセンヂャ-はサイクリックAMPであるかもしれないが,なお未知の作用機序が示唆された。
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