昨年度は、運動強度変化、すなわち運動ストレスによってTリンパ球のサブセット比(CD4/8)が、変化することを報告した。本年度は職場でのストレス度指標としてのTリンパ球サブセットの有効性について検討した。北九州市近郊の町役場の職員(192名)に建康診断の採血時に、余分に血液をとり、CD4、CD8、CD4/8比を測定した。年齢別のCD4/8比は、20歳代から60歳代まで、年齢があがるにつれて平均値は上昇した。男女別、年齢別CD4/8比を男女別で5歳ごとに分割すると、40歳代前代の40ー44歳の男性で有意に(p<0.01)低値を示した他は、男女間に有意な差は認めなかった。また、町役場の40ー44歳代のCD4/8比は同年齢の製造業の従業員に比べても有意に(p<0.05)低かった。以上まとめると、Tリンパ球のサブセットCD4/8比の年齢別の特徴は、40ー44歳の男性職員が低く、女性との間、他の職場での同年齢層との男性間とにも有意な低下がみられた。その年齢の男性職員は多くは町役場での係長で、各仕事での実質的な責任者であることが多く、ストレスがかかる度合いが大きいと推察される。このことは健康診断結果での肝機能障害や消化器疾患などストレスが原因であることの多い有所見率が中間管理職以上で多くなっていることからも推察された。以上、Tリンパ球サブセット比が、職場でのストレス指標として有効である可能性が示唆された。
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