本研究では、運動ストレスや職場ストレスにともなう免疫応答変化をTリンパサブセットCD4/8比から検討するとともに、運動を指導する運動指導者の養成状況と運動習慣獲得のための動機づけの方法の有効性について検討した。 1.運動強度変化に伴う免疫応答: “運動して身体を鍛える"の生理学的解明のために、運動強度を変化させた時の免疫応答変化をTリンパ球サブセットCD4/8比を指標にして測定した。運動強度が強くなるとCD4/8比は有意に減少した。運動強度の強い運動ではかえって免疫機能を下げる可能性が示唆され、運動処方の際には至適運動強度の決定が非常に重要であることが示唆された。 2.職場でのストレス度指標としてのTリンパ球サブセットの有効性: 職場でのストレス度を表す指標としてのTリンパ球サブセットCD4/8比の有効性を北九州市近郊の町役場職員を対象に検討した。職場でのストレス度が高い中間管理職ではCD4/8比が有意に低下し、CD4/8比が職場のストレス度を表す指標として有効である可能性が示唆された。 3.運動習慣獲得のための運動指導: 健康の保持増進のために運動が奨励されているが、従来は運動奨励のかけ声だけであった。この度、関係各省、関係団体が種々の方針で運動指導者の養成に乗り出している。それぞれ別々の運動指導者養成の現状をまとめて概説した。一方、運動の奨励がなされているにもかかわらず、毎日運動している人は、30歳代で8%、40ー50歳代で7%にすぎない。そこで、運動習慣獲得のための動機づけの方法として、我々が精度を確認したカロリ-カウンタ-を利用して、運動習慣獲得のためのカロリ-カウンタ-有解性について検討を加えた。
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