研究概要 |
ラットより動脈を摘出し,条片の標本を作製し,βーアドレナリン受容体(AR)を介する弛緩反応を検討したところ、大腿動脈と大動脈のβーARは、それぞれβ_1とβ_2のサブタイプに属することが明らかになった。ノリエピネフリン(NE)の血管作用は、αーARを介する収縮とβーARを介する弛緩の相和と考えられるが、大腿動脈標本のNEに対する収縮反応は、プロプラノロ-ルとアテノロ-ルによって増強し、ブトキサミンによって影響されなかった。他方,大動脈標本では、ブトキサミンによって増強した。これにより、トランスミッタ-であるNEの血管における作用は、β_1ー(大腿動脈)とβ_2ーAR(大動脈)によって修飾されることが明らかになった。 次に、種々の薬物を7〜10日間ラットの皮下に投与し,これより作製した大腿動脈標本を用いて、NEのβ_1ーARを介した作用を検討した。この作用は、プロプラノロ-ルの皮下投与で増強し、イソプロテレノ-ルの皮下投与で減弱した。これより、β_1ーARを介する作用は、βーARのアゴニストやアンタゴニストの全身投与によって修飾されることが明らかになった。 高血圧自然発症ラットの大腿動脈では、β_1ーARを介する反応が減弱しているため、NEによる収縮反応は増強していた。 以上の結果から,薬物の全身投与は、その受容体に変化をもたらし、したがって、受容体を介する反応が影響されることが示唆された。
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