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1990 年度 実績報告書

ATPの後シナップス性遊離とその神経伝達への関与

研究課題

研究課題/領域番号 02670102
研究機関福岡大学

研究代表者

桂木 猛  福岡大学, 医学部, 助教授 (40004717)

キーワードモルモット回腸縦走節 / モルモット精管 / 非神経性ATP遊離 / 伝達物質受容体刺激 / シナプス横断性神経伝達調筋 / 電位依存性カルシウムイオンチャネル開放
研究概要

一連の研究の結果、ある種の受容体刺激によってATPが平滑筋組織から遊離することが認められたので本研究はATPの非神経性遊離の特徴および生理的役割を明らかにするために行なわれた。実験はモルモット精管、回腸縦走筋および膀胱筋を用い、ATPはluciferinーluciferase法により、AChはHPLCーECD法によりそれぞれ測定された。また細胞内Ca^<2+>濃度の測定はFura II AMを用いて行なわれた。1.伝達物質受容体刺激と非神経性ATP遊離 精管においてはNAとsubstance Pでは収縮の強さに差はないが、ATP遊離作用は前者の方がはるかに強力であり、これはprazosinによって拮抗された。一方、回腸ではAChおよびbethanecholに著明なATP遊離作用が見ら、いずれもatropineによってほぼ完全に拮抗された。しかし、KCl,histamine,5ーHT,PG F_2αなどでは強い収縮を示したにもかかわらず、ATP遊離作用はほとんど見られなかった。安定なATP誘導体であるα、βーmethylene ATP(P_2ーagonist)は両標本において濃度依存性の著しいATP遊離を示し、これらはいずれもsuramin(P_2ーantagonist)によって拮抗された。2.非神経性ATP遊離と神経伝達調筋作用 回腸の電気刺激によるACh遊離はα,βーmethylene ATPにより濃度依存性に抑制され、これはtheophylline(P_1ーantagonist)によって完全に拮抗された。3.ATPのCa^<2+>ーchannelに対する作用 回腸および膀胱筋においてATPは収縮に伴う細胞内Ca^<2+>流入を増加させたが、これらはいずれもCa^<2+>ーchannelの拮抗薬であるnifedipineによってほぼ完全に拮抗された。以上の結果、ATPを含めた神経伝達物質の受容体刺激によって平滑筋から後シナプス性に遊離したATPは一部は電位依存性のCa^<2+>ーchannelを活性化して筋収縮に関与し、また、一部はシナプスでadenosineに分解され、これがtranssynaptic neuromodulatorとして神経伝達を制御していると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Katsuragi: "Involvement of dihydropyridineーsensitive Ca^<2+> Channels in adenosineーevoked inhibition of acetylcholine release from guinea pig ileal preparation." J.Neurochem.55. 363-369 (1990)

  • [文献書誌] T.Katsuragi: "A possible coupling of postjunctional ATP release and transmitters receptor stimulation in smooth muscles." Life Sci.46. 1301-1307 (1990)

  • [文献書誌] T.Katsuragi: "Antagonism by nifedipine of contraction and Ca^<2+>ーinflux evoked by ATP in guineaーpig urinary bladder." Br.J.Pharmacol.100. 370-374 (1990)

  • [文献書誌] S.Usune: "Inhibition by ouabain and veratridine of acetylcholineーevoked phasic contraction in the guineaーpig taenia coli." NaunynーSchmiedeb.Arch.Pharmacol.

  • [文献書誌] T.Katsuragi: "Does ATP released from ileal longitudinal muscles of guineaーpig modulate transsynaptically cholinergic transmission?" Br.J.Pharmacol.

  • [文献書誌] T.Katsuragi: "Existence of ATPーevoked ATP release system in smooth muscles." J.Pharmacol.Exp.Ther.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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