研究課題/領域番号 |
02670105
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 元庸 京都大学, 医学部, 助教授 (10157761)
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研究分担者 |
松本 光弘 京都大学, 医学部, 助手 (20229579)
長野 豊 京都大学, 医学部, 助手 (80228048)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | β-VLDL / マクロファージ / 線維芽細胞 / ワタナベウサギ / LDL受容体 |
研究概要 |
ベータ超低比重リポ蛋白(β・VLDL)は.III型高脂血症患者やコレステロール負荷動物において蓄積することが知られており.マクロファージ(Mφ)に取り込まれてその泡沫化を惹起し.粥状動脈硬化初期巣の形成に寄与することが知られている。家族性高コレステロール血症ホモ接合体のモデル動物であるワタナベウサギは.血清LDLコレステロールが著明に増加しているのみならず,VLDLも増加している。我々は.正常及びワタナベウサギのMφと繊維芽細胞(Fb)におけるβ-VLDLの取り込み機構について検討し.粥状動脈硬化との関連につき解析した。正常及びワタナベウサギ腹腔Mφは.β-VLDLを濃度依存性に取り込み分解し.そのカーブは.飽和曲線を示した。ワタナベウサギMφへの取り込みは.正常と比較してその約30%であった。ワタナベウサギMφは低比重リポ蛋白(LDL)をほとんど取り込まなかった。Fbにおいても.同じ傾向を示した。Mφ及びFbにおいて.β-VLDLの取り込みは.抗LDL受容体抗体を加えることにより.完全に抑制された。これらの結果よりワタナベウサギの腹腔MφとFbにおいては.リガンド結合部位に4アミノ酸欠損した変異LDL受容体がβ-VLDLを取り込むことを示した。抗LDL受容体抗体を用いた免疾沈降実験において.ワタナベウサギMφは.成熟型のLDL受容体を合成することが示された。β-VLDLとワタナベウサギFbの膜分画を用いたリガンドブロッティングにおいては.正常とはぼ同じ大きさの160kDの単一のバンドが検出された。これらの結果より.β-VLDLは.Mφ及びFbにより.変異LDL受容体により正常の約30%程度取り込まれることが明らかとなった。ワタナベウサギのVLDLはβ-VLDL様の性質を持っていることが知られており.Mφの泡沫化に関与して粥状動脈硬化巣の形成に寄与する可能性が示唆された。
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