研究概要 |
(1)精製したIP_3受容体を架橋剤を用いて化学的に架橋した後,アガロ-スPAGEで解析したところ,2,3,4量体の産生が認められた。さらに,マウス小脳のミクロソ-ム画分を同様に架橋した後,アガロ-スPAGEにかけ,モノクロ-ン抗体を用いてウエスタンブロット解析を行なったところ,精製IP_3受容体で得られた結果と同じように,2,3,4量体の産生が認められた。以上の結果はNativeな受容体が4量体として存在することを示している。(2)精製したIP_3受容体を脂質平面膜に組み込むことによりIP_3依存性のCa^<2+>チャンネル活性が生ずるかどうか調べたところ,トランス側に53mMCa^<2+>の存在下,4.8μMのIP_3により,26PSのCa^<2+>コンダクタンスが生ずることを認めた。この結果は、4量体構造を持つIP_3受容体そのものがIP_3存在下,アロステリックな構造変化を引き起こし,チャンネル活性を示すようになると結論した。(3)3種類のモノクロ-ン抗体を用いて,IP_3受容体の局在性の詳細を金ユロイド法により,電顕レベルで調べたところ,殆んどの受容体が滑面小胞体に局在しており,さらに,それぞれのエピト-プが細胞質側にあることを明らかにした。この結果、N未端側のみならず,C未端側も細胞質に突出した膜貫通蛋白質であることを示しており,4量体構造とチャンネル形成機構の相関を考えた場合極めて興味深い。(4)IP_4が,IP_3による小胞体からのCa^<2+>遊離と連動して組胞外からのCa^<2+>流入に関わっているとの報告がなされ,IP_3,IP_4両メッセンジャ-による情報伝達の調節機構が注目され始めているが,我々は平成2年度よりIP_4受容体の精製を行ない,一部について高純度の標品を得ることに成功した。現在,抗体を作成しつつある。また,諸性質についても検討中である。
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