研究課題/領域番号 |
02670126
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小林 圭子 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70108869)
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研究分担者 |
荒川 裕之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40212617)
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10056070)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1991
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キーワード | シトルリン血症 / アルギニノコハク酸合成酵素欠損症 / 尿素サイクル酵素異常症 / 臓器特異的発現異常 / Homozygosity mapping / RFLP解析 |
研究概要 |
シトルリン血症は尿素サイクルの酵素であるアルギニノコハク酸合酵素(ASS)の異常に基づく代謝性疾患であり、新生児小児発症と成人発症の2つに大別される。前者のASS欠損は全身性であるが、後者は肝臓持異的ASS欠損を示す。新生児小児発症における9種類の一塩基置換はすべて翻約領域内のアミノ酸置換であり、その大部分は種を越えて保存されているアミノ酸残基での変異であった。以上の変異が病因となり得るか否かの確認のため、方異cDNAを細胞で発現させた。5種類の変異はすべてASS活性が検出限界以下であり、そのうち3種はASSーCRMが検出された。症例のほとんどは複合ヘテロ接合体であった。そこで1つの変異からなるホモ四量体または2種の変異からなるヘテロ四量体を形成させ、酵素活性や蛋白構造に与える影響をさらに検討している。一方、成人発症では肝ASS蛋白は低下しているが、肝ASSmRNAはほぼ正常レベル存在する。しかもその塩基配列に変異は認められない。肝特異的ASS蛋白の低下はどのような機序で起こるのか。1つの可能性として翻訳段階で調節する因子(アンチセンスRNAやRNA結合蛋白)の存在有無を検討したが、ポジティブな結果は得られなかった。我々はこの10年間で80例の成人発症患者を解析してきたが、その血族結婚率は約20%であり、一般集団の率(1〜3%)と比べるとはるかに高い値を示す。このことは成人型シトルリン血症も常染色体劣性の遺伝病であることを示唆している。血族結婚のある一家系でのRFLP解析の結果、患者のハプロタイプはヘテロ接合体を示した。またASS遺伝子の1つのRFLPを用いて、homozygosity mappingを行ったところ、血族結婚を示す11症例において8例はホモ接合体を、3例はヘテロ接合体を示した。これは成人発症の病因がASS遺伝子上にない可能性を示しており、さらに検討を加えている。
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