1990 年度実績報告書

肺リン脂質代謝調節におけるサ-ファクタント・アポ蛋白関与の機構

研究課題

研究課題/領域番号	02670127
研究機関	札幌医科大学
研究代表者	秋野豊明札幌医科大学, 医学部, 教授 (80045377)
研究分担者	黒木由夫札幌医科大学, 医学部, 講師 (70161784)
キーワード	肺表面活性物質 / リン脂質代謝 / 肺胞II型細胞 / ホスファチジルコリン / 肺サ-ファクタント・アポ蛋白 / 呼吸機能
研究概要	本研究は、肺胞II型細胞におけるリン脂質代謝調節への「アポ蛋白」(肺サ-ファクタント・蛋白質;SPーA,SPーB,SPーCとSPーD)関与の機構を解明することを目的とする。本年度当初の計画は概状達成された。平成2年度の研究実績を以下に要約し、本研究で得られた新知見を列記する。 1.SPーAによる生物活性(肺胞II型細胞で高親和性受容体を介し、リン脂質分泌を抑制する)の発現と,SPーAの構造との関係を検討した。SPーAはN端約1/3にコラ-ゲン様構造をもつが,この部位は生物活性発現に必須であること,Nーグリコシド糖鎖の関与は少ないことを明らかにした。リン脂質との相互作用にコラ-ゲン様構造は必須であったが、糖鎖部位は必要でなかった。すなわち、SPーAの生物活性発現およびリン脂質との相互作用には、SPーAの高次構造維持に必要なコラ-ゲン様構造の重要性を指摘することができた。 2.SPーAは脂質結合部位をもつ。SPーAとリン脂質分子種との結合特異性を,薄尸クロマトグラフィ-で展開したリン脂質に対する ^<125>IーSPーAの結合により検討した。その結果,SPーAはジパルミイル・ホスファチジルコリンと特異的に結合することを証明した。つまりSPーAは細胞内外のサ-ファクタント・リン脂質の移動に関与することが明らかとなり、今後細胞内外のリン脂質移送が主要な課題となった。 3.新たに見出されたSPーDは,SPーAと構造上の共通性をもつが,SPーAとは異なり肺洗浄液の遠心上清から分離された。このnative SPーDは、リン脂質を結合しており、SPーAの受容体結合および受容体を介する生物活性の発現を抑制したが,SPーDから脂質を除去するとこの活性は失なわれた。SPーDは、この結合リン脂質を介して,SPーAの生物活性を抑制していると思われた。

研究成果
(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] 秋野豊明,黒木由夫: "肺サ-ファクタント研究最近の動きーアポ蛋白質をめぐる新たな展開ー" 呼吸と循環. 38. 722-735 (1990)
[文献書誌] Kuroki,Y.,Akino,T.: "Pulmonary surfactant protein A(SPーA)specifically binds dipalmitoylphosphatidylcholine" J.Biol.Chem.266. 3068-3073 (1991)
[文献書誌] Shimizu,H.,Miyamura,K.,Kuroki,Y.: "Appearance of surfactant proteins,SPーA and SPーB,in developing rat lung and the effects of in vivo dexamethasone treatment." Biochim.Biophys.Acta. 1081. 53-60 (1991)
[文献書誌] Shimizu,H.,Sato,M.,Miyamura,K.,Kuroki,Y.,Akino,T.: "Development and localization of surfactant proteins A and B in the lung of fetal and neonatal rats." Pediatr.Res.(1991)
[文献書誌] Kuroki,Y.,Akino,T.: "The roles of the collagenous domain and oligosaccharide moiety of pulmonary surfactant protein A in interaction with phospholipids." Biochem.Int.
[文献書誌] Kuroki,Y.,Shiratori,M.,Murata,Y.,Akino,T.: "Surfactant protein D(SPーD)alters the biological activity of surfactant protein A(SPーA)on alveolar type II cells:Interaction of native SPーD with SPーA." Biochem.J.
[文献書誌] 秋野豊明,他(分担執筆): "肺表面活性物質の現在" 真興交易医書出版部, 268 (1990)
[文献書誌] 秋野豊明,他(分担執筆): "バイオサ-ファクタント" サイエンスフォ-ラム社, 464 (1990)

1990 年度 実績報告書

肺リン脂質代謝調節におけるサ-ファクタント・アポ蛋白関与の機構

研究代表者

秋野 豊明 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80045377)

研究成果

[文献書誌] 秋野 豊明,黒木 由夫: "肺サ-ファクタント研究最近の動き ーアポ蛋白質をめぐる新たな展開ー" 呼吸と循環. 38. 722-735 (1990)

[文献書誌] Kuroki,Y.,Akino,T.: "Pulmonary surfactant protein A(SPーA)specifically binds dipalmitoylphosphatidylcholine" J.Biol.Chem.266. 3068-3073 (1991)

[文献書誌] Shimizu,H.,Miyamura,K.,Kuroki,Y.: "Appearance of surfactant proteins,SPーA and SPーB,in developing rat lung and the effects of in vivo dexamethasone treatment." Biochim.Biophys.Acta. 1081. 53-60 (1991)

[文献書誌] Shimizu,H.,Sato,M.,Miyamura,K.,Kuroki,Y.,Akino,T.: "Development and localization of surfactant proteins A and B in the lung of fetal and neonatal rats." Pediatr.Res.(1991)

[文献書誌] Kuroki,Y.,Akino,T.: "The roles of the collagenous domain and oligosaccharide moiety of pulmonary surfactant protein A in interaction with phospholipids." Biochem.Int.

[文献書誌] Kuroki,Y.,Shiratori,M.,Murata,Y.,Akino,T.: "Surfactant protein D(SPーD)alters the biological activity of surfactant protein A(SPーA)on alveolar type II cells:Interaction of native SPーD with SPーA." Biochem.J.

[文献書誌] 秋野 豊明,他(分担執筆): "肺表面活性物質の現在" 真興交易医書出版部, 268 (1990)

[文献書誌] 秋野 豊明,他(分担執筆): "バイオサ-ファクタント" サイエンスフォ-ラム社, 464 (1990)

1990 年度実績報告書

秋野豊明札幌医科大学, 医学部, 教授 (80045377)

[文献書誌] 秋野豊明,黒木由夫: "肺サ-ファクタント研究最近の動きーアポ蛋白質をめぐる新たな展開ー" 呼吸と循環. 38. 722-735 (1990)

[文献書誌] 秋野豊明,他(分担執筆): "肺表面活性物質の現在" 真興交易医書出版部, 268 (1990)

[文献書誌] 秋野豊明,他(分担執筆): "バイオサ-ファクタント" サイエンスフォ-ラム社, 464 (1990)