昨年度に引き続き、胃悪性リンパ腫に浸潤するTリンパ球のVβusageにつき検討を行った。胃のB細胞性悪性リンパ腫10例中、TCRβの再構成が認められた4例で、Vβ1ーVβ20とCβのプライマ-を用いたRTーPCRを行い、Vβusageを解析した。高濃度の著名なバンドが、症例1でVβ2、Vβ14に、症例4ではVβ2、Vβ4、Vβ5に、症例7ではVβ2に、症例9ではBβ2、Vβ13の部位に一致して認められた。RTーPCRの条件は、厳密な定量解析ではないが、いずれの症例でもVβ2DJの再構成を持つ細胞が最大クロ-ンを形成している事を示唆した。T・B両形質を表現する腫瘍細胞が、免疫染色で同定されないこと、さらに症例4でVβ2バンドDNAが、Southern blottingで、TCRβ再構成部と同位置に泳動されることなどより、胃Bリンパ腫の或ものは、特有の単クロ-ン性のTリンパ球の浸潤を誘導していると考えられた。Vβ2usageが、胃リンパ腫浸潤Tリンパ球に特異的かどうかを検討するため、(1)胃癌、胃潰瘍例のTリンパ球DNAを分離し、Vβusageを検索する。(2)特に、リンパ上皮腫様胃癌の浸潤リンパ球について検索する。(3)Vβ2単クロ-ン抗体を作成し、陽性リンパ球の分布を検討する。以上の方法につき準備中である。このうち(2)リンパ上皮腫様胃癌は、ホルマリン固定材料22例を収集しており、CD4(OPD4)陽性Tリンパ球が多い結果を得ている。18例でEBVゲノムが陽性であり、特定のVβusageが期待される。
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