研究概要 |
1.精製リンパ球ALPの物理化学的性状を1)各種阻害試験、耐熱試験2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動法3)免疫学的反応4)SDSーPAGEにより分子量の測定などにより検討を加えた。リンパ球ALPはユニバ-サル型の中でも臓器特異性を示した。2.リンパ濾胞細胞を免疫組織化学的に検索すると、増殖初期(G_0〜G_1期)のマントル層Bリンパ球は外層細胞(IgM^+,ALP^+,IgD^ー)と内層細胞(IgM^+,ALP^ー,IgD^+)に分けられた。これら細胞の細胞内伝達にはIgM,D,ALPとPKC typeIIとの関係が重要で、芽球化に伴いPKC活性が急速に減弱し、マントル層細胞は濾胞中心細胞に動員されるとみなされた。3.末梢血リンパ球のALP陽性率は最大0.05%であった。LPS刺激後の末梢血Bリンパ球培養実験から、リンパ球の芽球化と増殖に際してALPの発現が先立つことが示唆された。4.ヒトリンパ球ALPはPIーPLCの作用で遊離した。PIーPLCの量と反応時間に依存して増加し、このALPがGPIアンカリング蛋白であることが推定された。5.Bリンパ球にPIーPLCを反応させると、ALPの遊離に対応し、PKC活性の修飾がおこった。リンパ球ALPがBリンパ球の分化増殖に大きな役割を果たしていることが示唆された。6.Bリンパ腫とB細胞培養細胞株におけるPKC isozymeの発現をみると、Bリンパ腫ではtypeIIが、培養細胞株ではtypeII&typeIIIが最も基本的なPKCであり、更にtypeIIIや総PKC活性が活性化や増殖能に深くかかわることが推測された。7.PKCの活性化との関連性が予想されたホルモンや成長因子とそのレセプタ-(IGFーII,IR,IGFーIーR)、癌遺伝子蛋白(panーras,cーerbBー2)は反応性リンパ組織と悪性リンパ腫において全て陰性であった。リンパ球ALPにおいて、PIーPLCの作用を介したDAGの産生には他のものの関与を考えたい。p53はBurkittリンパ腫のにおいて高頻度に発現したことから増殖能との関連が推測され、他の組織型と比較検討している。
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